リモートワークやノマドワーカーという言葉が世に出てきて、ずいぶん久しい時代になりました。
あなたもオフィスや、自室以外でパソコンを使うことはありますか。
中には、おしゃれなカフェ、図書館、街中の休憩スペースでノートパソコンを広げて作業する人もいると思います。作業中にちょっとトイレに行きたくなって、数分席を離れて戻ったら「あれっ、パソコンがない!!」なんてことになったら大変です。
パソコンがない間、仕事の手は止まるし、会社やクライアントへの報告や事後の後始末に時間をとられ、精神的にも疲弊します。
新しいパソコンを手配するための金銭的ダメージも、決して少ないものではないでしょう。もしも情報が流出してしまったら、なんて考えたくもありません。
そんなあなたも、ちょっとした出費で安心感を得られるものがあります。それが「セキュリティワイヤー」です。
セキュリティワイヤーとは
ワイヤーを使って、パソコン本体と机などを繋いで鍵をかけることで、物理的に持ち出せなくする道具のことを言います。ワイヤーロック、ケンジントンロックと呼ばれることもあります。
金額は安いと1000円を切るものから5000円近いものまでありますが、いずれも「パソコンをワイヤーで繋いで鍵をかける」ということには変わりありません。
油断するなよ! スマホ・ノートPC盗難の状況
JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)の2023年度の調査によると、プライバシーマーク付与事業者を対象にした調査では1、2023年度中に発生した事故件数9208件のうち、盗難は49件となっています。
このデータでは全体の約6割を占めているのは「誤配達・誤交付」「誤送信」です。盗難は0.7%のため大したことはないと思うかもしれませんが、2022年度のデータでは盗難が34件2、2021年度のデータでは盗難が18件3でした。
この件数の中にはスマートフォン(スマホ)も含まれているため、すべてがノートパソコンの盗難ではありませんが、盗難の件数は増加傾向にあります。あなたの目の前のパソコンが消えてしまうのは、明日かもしれません。
「セキュリティワイヤー 意味ない」って出てきたけど…本当なの?!
Googleの検索窓に「セキュリティワイヤー」と入力するとサジェストに「意味ない」というキーワードが並びます。こんな言葉を目にしたら不安になりますよね。
そのまま「セキュリティワイヤー 意味ない」のキーワードで検索してみると、数は少ないもののセキュリティワイヤーに意味はないと主張する投稿が見られます。
無意味だと主張する根拠は「ワイヤーカッターがあれば簡単に切断できるから」というものです。
確かにセキュリティワイヤーがワイヤーカッターで容易に切断可能なのは事実です。
しかもワイヤーカッターはポケットに余裕で入ってしまうくらいの大きさなので持ち運びも簡単。どんなに手間取っても数分で切断可能です。
それでも、セキュリティワイヤーに意味はある
こんな記事を書くくらいなので私は意味があると思っています。これについて言えることは3つです。
盗み出すハードルが上がる
仮にあなたが空き巣をするとしましょう。玄関のカギがかかっている家と、かかっていない家、どちらに忍び込みますか。
もしバイクを盗むとして、ハンドルロックがされているバイクと、されていないバイク、どちらを選びますか。
どちらとも後者を選ぶはずです。
図書館やカフェに行く機会があった際、パソコンを使って作業している人を見てください。おそらくほとんどの人がセキュリティワイヤーをしていないはずです。
そんな中であなただけセキュリティワイヤーをしていたら、あなたのパソコンは他のパソコンに比べて「盗み出す手間がかかる」ということになります。
盗難を防ぐコツの一つは「盗むまでに時間がかかるような工夫をする」ことです。セキュリティワイヤーはその役割を果たしてくれます。
行きずりの窃盗でワイヤーカッターを持ち歩く人はいないのでは?
ワイヤーカッターはホームセンターで普通に買えるうえにポケットに入るくらい軽くて小型ですが、計画的に行うのでなければ普段から持ち歩く人はいないでしょう。
簡単に外れないものとワイヤーで繋ぐことで、少なくとも「魔が差して」行うような、衝動的な盗難から守ることができます。
万が一盗まれたとして、相手に与える心証が違う
少々せこい話になりますが、仕事で使うパソコンを盗まれてしまった場合、あなた一人でことは収まりません。会社やクライアントに盗まれた旨を報告しないといけません。
その際、盗まれた事実は変えようがないとしても、対策していたにも関わらず盗まれたのと、何もせずに盗まれたのとでは相手に与える心証が違います。
盗まれないに越したことはありませんが、あなたのセキュリティに対する意識や責任感が垣間見える場面にもなりえるので、抜かりなく対策したほうが有利になるといえるでしょう。
セキュリティワイヤーの選び方
「よし!セキュリティワイヤーを買おう!…と思ったけど、なんだか種類もたくさんあってどれを選んでいいかわからない…」
そんなあなたでも大丈夫! セキュリティワイヤーの選び方を教えます。
要注意 セキュリティスロットの種類
セキュリティワイヤーをつなぐための穴を「セキュリティスロット」と呼びます。
お使いのノートパソコンの側面をご覧ください。排熱口でもポートでもない、比較的小さな四角形のへこみがありませんか? これがセキュリティスロットです。
セキュリティスロットは3種類あり、対応するセキュリティワイヤーを使う必要があります。
異なる種類のものは使えないので、必ず確認してください。
スロットの種類 | 横幅 | 縦幅 |
標準サイズ(ノーマルサイズ) | 7mm | 3mm |
薄型サイズ(ナノセーバー / Nano Saver) | 6mm | 2.5mm |
小型サイズ(ノーブルロック / Noble Wedge) | 4.5mm | 3.2mm |
セキュリティスロットが設けられていない機種もあります。
その場合、両面テープで貼り付け可能なセキュリティスロットを用いて増設するか、空いているポートを利用してワイヤーが接続できるタイプの製品を利用することになります。このケースについては今回は割愛します。
細かいことを考えるのが面倒なら「3種類マルチスロット対応型」を選ぶとよい
実は上記に挙げた3種類すべてに対応した製品もあります。
細かいことを考えるのが面倒、という人は「3種類マルチスロット対応型」を選ぶとよいと思います。
錠前の種類は、それぞれの使用状況に合わせて決めてよい
シリンダー式、ダイヤル式、南京錠式とありそれぞれに利点欠点がありますが、自分の好みや使用するシチュエーションに合わせて好きに選んでよいと思います。
簡単に動かせないもの、もしくは取り外せないものとパソコン本体をワイヤーで繋いで鍵でロックすることでその場から動かせないようにする、という基本原理はどの商品も一緒です。
錠前の種類と特徴は次の通りです。
シリンダー式
- 鍵を使って施錠するタイプ(丸形のものが多い)
- 見た目がコンパクト
- 鍵を差し込む部分が円筒型になっているため、衝撃に強く頑丈である。
- 南京錠式と比べると付属品の数が少なく、外出先で使う際に付属品を忘れて使えなくなる可能性が少ない。

【商品名をクリックするとAmazonのページへ移動します】
サンワサプライ スロットマルチ対応セキュリティワイヤー(シリンダ錠) SL-89
【神林のコメント】
・3種類のセキュリティスロットに対応した製品の一つ。
・ワイヤーの太さは4.4mmで、かなり太め。
・比較的高額な部類に入るので、安価に導入したい人には向かないかも。

【商品名をクリックするとAmazonのページへ移動します】
バッファロー BUFFALO ピンシリンダー錠ワイヤーロック(統一キー対応) BSL05S01
【神林のコメント】
・標準スロットのみに対応した製品。
・マルチスロット非対応で、ワイヤー長も1.7mとやや短めなこともあってか、「サンワサプライ SL-89」よりも安価。
ダイヤル式
- 暗証番号で鍵を開くタイプ
- 鍵が不要であるため鍵を持ち歩く必要がなく、なくすリスクもない。
- 暗証番号の管理を厳重に行う必要がある(番号を忘れると開かなくなる、他人に知られると離席中に解錠されてしまう可能性がある)。

【商品名をクリックするとAmazonのページへ移動します】
サンワサプライ(Sanwa Supply) スロットマルチ対応セキュリティワイヤー(ダイヤル錠) SL-90
【神林のコメント】
・こちらも3種類のマルチスロットに対応した製品。
・シリンダー式で紹介した「SL-89」と比べて安い。
・ワイヤー一体型なので、これさえ持ち出せばOK! 付属品を忘れて使えなくなる心配がない。
南京錠式
- 南京錠を使って施錠するタイプ
- 鍵の構造が複雑であるため、ピッキングで開錠される可能性が低い。
- ひとつの錠前で複数のワイヤーを繋ぐことができる。
- シリンダー式、ダイヤル式と比べると付属品の数が最も多く、一つでも忘れると使えないため持ち物の管理を厳重に行う必要がある。

【商品名をクリックするとAmazonのページへ移動します】
サンワサプライ パソコンセキュリティワイヤーロック(南京錠) SL-57
【神林のコメント】
・標準スロットのみに対応した製品。
・神林が使用している製品はこれ。
私が使用しているのは南京錠式です。選んだ理由は職場でよく見ていて親しみがあったからで、完全に好みの問題です。
ですが上記に示した通り、部品点数が多い4のが欠点です。今のところ忘れて使えなくなったことはありませんが、頻繁に外出先で使う場合は南京錠式以外を選んだほうが忘れ物によるトラブルは少ないと思います。
ワイヤーの長さは2m程度がベスト
ワイヤーの長さは2mから1.8m程度の長さが多いようで、市販されているセキュリティワイヤーでそれ以上の長さのものは見当たりませんでした。
私の経験上、外出先で使う場合は2m程度の長さがベストだと思います。
パソコンを固定する周辺の環境は必ずしも同じとは限らないので、あまりにも短いとワイヤーが届かず固定できない可能性があります。
ワイヤーの長さが1m以下となると、場所をかなり選ぶので、2mのものを選ぶようにしましょう。
完璧な盗難対策はない できることは、盗まれる確率を下げること
セキュリティワイヤーを使うことで、盗まれる確率を下げることはできます。ですが、完璧な対策などありません。
私たちにできることは、盗まれる確率を下げることと、万が一にも盗まれてしまったときに手元に戻る可能性を上げることです。
セキュリティワイヤーは数千円で手に入ります。パソコンの値段や、盗まれた後の時間的損失、そして精神的な疲弊を減らすためにできることとしてはかなり安い出費だと考えています。
まだ使っていない人は、今すぐセキュリティワイヤーを買いましょう。
- ”2023年度 個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果”. プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC). https://privacymark.jp/guideline/wakaru/g7ccig0000002vj1-att/2023JikoHoukoku_240815.pdf ↩︎
- “2022年度個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果”. プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC).https://privacymark.jp/guideline/wakaru/g7ccig0000002vj1-att/2022JikoHoukoku_230802.pdf ↩︎
- “2021年度「個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果」”. プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC). https://privacymark.jp/guideline/wakaru/g7ccig0000002vj1-att/2021JikoHoukoku_221007.pdf ↩︎
- 南京錠本体、鍵、ワイヤー、ワイヤー取付用の金具の4つ。 ↩︎